粗野な人だから嫌いだった。ぶっきらぼうで手も早い。人を慮るのが下手。余計なことばっかり言って、そのくせ大事なことを言おうとするとすぐに言葉が詰まる。
だから、今更あなたのせいだろうとどうとも思わない。恨みもしない。あなたはきっと、下手な言い訳を並べて白い目をされたあと、ただむっつりしてごめんと呟くだけだから。
最初からそれでよかったのに。あなたの飾らない言葉が、我儘でも身勝手でも、一番美しく、私達が大切にすべきものに違いなかった。
私達がそれに気付いたのはあまりにも遅く、――遅すぎたけれど、幸いにして時間は恒久だ。
あの北極星の輝きが変わらないように、私達もきっとばかで不器用なあなたと一緒に生きていく――この終わった世界で。