投稿者: nzeenz70 / 144 ページ
鉄皮がふっと和らいで少しだけ口許にしわができ、彼の教師人生を物語る。この人はそうやって、何人もを育んできたのだろうーーこの学舎から。
君のその目のとうとく若い輝きは、君にしかないものなんだよ。
ところで最近、韋田はよく泣くようになった。俺が何かを言えば絵の具を散らしたように顔の色が変わるから面白かった。そうした日々の中であいつの目が徐々に熱を持っていくのが――忌避すべきだったのに、嬉しかった。硬い氷が溶けたような気がしたのだ。
あの北極星の輝きが変わらないように、私達もきっとばかで不器用なあなたと一緒に生きていく――この終わった世界で。
ねえ。そうだよね。
きみに似合うのはその青空と青春の音で、わたしに似合うのはこの影差す暗い回廊なの。