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ところで最近、韋田はよく泣くようになった。俺が何かを言えば絵の具を散らしたように顔の色が変わるから面白かった。そうした日々の中であいつの目が徐々に熱を持っていくのが――忌避すべきだったのに、嬉しかった。硬い氷が溶けたような気がしたのだ。
あの北極星の輝きが変わらないように、私達もきっとばかで不器用なあなたと一緒に生きていく――この終わった世界で。
ねえ。そうだよね。
きみに似合うのはその青空と青春の音で、わたしに似合うのはこの影差す暗い回廊なの。
照らすものがない夜の中で俺は少しだけ泣いた。お前には金がある、地位がある。何より愛があるのに、なぜあのように行き場をなくして立ち尽くすのかわからなかった。いらないなら代わってほしかった。俺はこの町が大嫌いだったが、お前は違うのだろう。俺が明日捨て行くものを、お前は後生抱えることが出来るのに、なぜ、神は持たざる人間を取り違えるのだろう。
永長さつきは体が弱かった。生まれついて病原に弱い彼女は…