タグ: 四季島堅雪

遡行ラスト班その後

 図ったように鼻歌が止んで、三人はまた窓の外を見た。
 冬の東京は、なおもスピードを増すように、いまだ街灯りを受けて輝いている。

わたしの味方(打水/「仰ぎ見る遡行」ネタバレ)

「――わたしは絶対幸せになるんです。わたしの愛する人が、わたしの愛した人たちが、わたしの幸せを祈ってくれたこの場所で」
 小さく、小さく。祈るようにつぶやいた。誰にも聞こえずに雪の中に消えていった、その音波は、けれど確かに存在したって、今わたしが。わたしだけがそれを、証明してあげられる。