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雨の止まない科人の国(「雨夜の記憶」ネタバレ・未完)

 金城陽一は驚いていた。
 自分は死んだのではなかったか。少なくとも、これから自分は死ぬのだという、あの瞬間に感じた、存在そのものが無に帰し自我が宇宙に消失する恐怖と絶望、焦燥だけはいまだ心に燻っていた。無我夢中で、誰の声もせず視界すら閉じられて、何を口走ったのかさえもはや覚えていない。

しるべにもならない金の色(葛城・韋銅)

 照らすものがない夜の中で俺は少しだけ泣いた。お前には金がある、地位がある。何より愛があるのに、なぜあのように行き場をなくして立ち尽くすのかわからなかった。いらないなら代わってほしかった。俺はこの町が大嫌いだったが、お前は違うのだろう。俺が明日捨て行くものを、お前は後生抱えることが出来るのに、なぜ、神は持たざる人間を取り違えるのだろう。

「血肉仕掛けの機械人」に出したNPCです