2月21日~23日にかけて、さら様主催のもと俺屍Webオンリー「花唄2」が開催されました。
開催ありがとうございました!そしてご参加された皆様お疲れ様でした…!!
私自身花唄1に参加する予定が結局できずじまいだったことがとても心残りだったので、今回無事に2に参加することができてうれしく思っています。
しかも個人誌で!



今回は「7年ぶりくらいに個人誌作ったよレポ」を書いていこうかと思います。
自一族の話もちょろっとしてますが、どちらかというと主にこんな感じで作ったよという備忘録…よりもさらにもっと砕けた、個人的な思い出づくりの一環みたいな記事になっています。
暇つぶしにどうぞ。
発足
「そうだ!本出そう!」と思い立ったのは確か1月5日くらいだったと記憶しています。
元々花唄2には参加する気満々だったのですが、如何せん「エネルギーがたまたま爆発したら書けるけど、爆発しないと何やっても無理」みたいなタイプなので、わりとギリギリまでどうしようか悩んでいた覚えがあります。
ちょっと話は逸れますが、今めちゃくちゃ個人的にSS連投キャンペーンを継続しています。俺屍じゃなくて別ジャンルで。
最低でも月2、いけそうなときは週4くらいで短編小説を書いてアップするということを10月頭くらいからずっと続けています。
花唄の前に投下した暁&桂クロスオーバー小説も実はその一環です。
取り立てた理由はなくて、単に「小説って書くの楽しいかも」という気づきに端を発しただけなのですが、なんかこのキャンペーンのおかげで自信がついて、短編集くらいならサクッと作れるかも、という境地に至りました。
そんな折、風呂場の中で私は考えた。
なんかテーマさえあればなあ。一本のテーマを軸にした、様々な一族の短編集とかがあったら楽しいだろうなあ、アソートチョコみたいで…。
花唄…。花唄………
鼻歌!!
答えはすぐそこに、あったんだ…………
というわけで完全なる突発の思い付きによって「鼻歌をテーマに最低6本の短編を書く」を目標にすることを定めました。
思い立ったら即実行!!秒で取り掛かり始めました。
仕様の決定
色々検討した結果、あまりに実プレイが進んでなくてお話が一本書けそうにない左右都&雛菊一族を抜いた、合計7一族を主役に据えることを決めました。
その時点でざっくり決めていた各話の方向性はこんな感じでした。
- 天ノ川一族:最終世代メイン、表題作担当。ほのぼの、優しい話。
- 四切一族:花火世代主役の、泥臭くも熱い物語。
- 帯世一族:代々大主役、ホラー・ストレンジ。
- 仲一族:良夜&日華主役、ダーク・シリアス。
- 極楽鳥一族:コートさんメイン、コメディ。
- 約鹿一族:姫皿~青金世代、恋愛が主題のしっとり系。
- 染井一族:初代主役の、ラストにふさわしい感動系。
最終的に方向性ががらりと変わったのは四切と染井です。
染井はやはり「反魂の儀」を軸にするのが一番個性が出るだろうという判断をくだしました。反魂が起きたのは全一族の中で染井一族だけなので…。あと極楽鳥も帯世も初代がガッツリ絡むお話になっているので、染井は初代主役じゃなくてもいいかなというバランス的な理由もありますね。
四切についてはどうしても花火を主役にすると明るくなっちゃうという苦渋の決断です。煌様を主役にした方が四切っぽい泥臭さ・重厚な感じが表現できるなあと感じたんだよね…。難しかった、花火世代描きたかったんだけど。
あとはどこまでをWeb公開して、どこまでを書籍収録にするかもこの時点でなんとな~く決めました。
最終的には「天ノ川、帯世、極楽鳥」をWeb公開、「四切、仲、約鹿、染井」を書籍収録にすることにしたのですが、これも個人的なバランスラインに則った選定になってます。
おもに「今プレイ中の極楽鳥と約鹿はどちらかをWeb公開、どちらかを書籍収録にしよう」とか、「表題作は読めるようにしとこう」「一番長いお話の染井は書籍限定にしよう」「仲はみんな釣られてくれそうだから書籍に入れとこう」みたいな感じの判断基準ですね。
仲の理由、小賢しすぎるだろ
収録順もいろいろな検討の結果になってます。帯世→仲→極楽鳥の流れは「最悪になった流れを、別の最悪でぶったぎろう」という意図です。風邪ひいてほしい。一緒に
さらに大事なのが本そのものの仕様ですね。つまり装丁!

次に個人誌をつくる機会があったら小口染めはマストでやりたいなあと思っていました。
最初はプリントオンさんで刷ろうと思ってたんですが、調べたところプリントオンさんでは小口染めは厚さ10mm以上の本にしか使用できないみたいでした。
私がこれから作ろうとしている本は、おそらく1本につき長くても4000文字。合計で30000文字ないくらい。A6にしたとしても「ちょっと厚みある本」くらいが関の山なので、プリントオンさんは諦めてSTARBOOKSさんを使うことにしました。
STARBOOKSさんの小口染めはなんと、特に、厚みの下限に関する記載が、ない!!!神!!!
ちょっと制作内容もページ数も読めなかったので、ひとまず3本くらい執筆し終えてから仕様・締切の確定に踏み込みました。
今回選んだ特殊加工はタイトルのエンボス加工と小口染め。あと特殊紙を入れたりなどしました。
その結果、締切は2月6日となりました。1ヶ月しかねえじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!
とはいえ思い立ってすぐに3本一気に書き上げたときの私は楽観視していたわけです、このペースなら2週間もなしに本作れるかもなと。1ヶ月、時間ありすぎ(笑)
結論からいうと全然そんなことありませんでした。普通に無理でした。そりゃそうだろ
結果的に厚さは6.4mmになりました。文字数にして大体33000文字くらい。本文には各章の最後にプチコラムみたいなものを挟んでいるので、それも含めると40000文字くらいにはなったのかな?
小口染めも映えてちょうどいいくらいの厚みです。やっぱり小口染めを使うならほどほどの厚さはほしいよね。
本文制作
私の持つエネルギー力というのは初速にすべてがかかっており、後ろになるほど失速するシステムです。
なので序盤に書いた作品はサクサク作れたんだけど、後半で作ったやつはなかなかキツかった。
基本的に殆ど収録順に書いたので、後半というのは極楽鳥「センネンマエセンス」約鹿「伝譜のほとぼり」染井「輪唱」の3本を指してるのですが、まあ~~~出てこなかったね…。
センネンマエセンス
特にキツかったのがやはりセンネンマエセンスですね。ベースがシリアス工場の脳みそなので、ギャグも書けないことはないけど無理してるんですよ、基本的に。難儀だ…。
極楽鳥を今回の短編群に入れると決めた時点で「おそらく一番の鬼門になる」とは予想してたんですが、やっぱり辛かったです。出てこなくて。
だけど「これ本当に笑えるか?」という意味での推敲はきちんと行ったので、それなり読める感じにはなってるんじゃないかと思います。
それに極楽鳥、やっぱり辛くなるとわかってても絶対入れたかったしね。アソート作品集にするにあたって極楽鳥の存在ってロゼッタストーンまである。
「フルバージョンの歌詞が書籍に収録されてます」というカスみたいなオチも気に入ってます。
伝譜のほとぼり
「伝譜のほとぼり」もだいぶ悩みました。ギリギリまで赤銅主人公にするかケン坊主人公にするか悩んで、決まらなくて…結局「全部盛り」にすることで解決するという物理的な手段を取りました。だから約鹿は4本のショートショート形式になってるんですね。
「モブ視点作品が一本入ってる」というのも「アソート作品集」としてはかなり良い案だったので捨てきれなかったんですが、ケン坊が「幼いガキ」だというのが足かせになっちゃってね…。
ガキ視点の語り、膨らませられる気がしなかった。これは私の腕不足もあるかもしれないねえ~…。
恋愛軸の話にしようと思ってたんだけど、ショートショート連作という手法をとったことでその軸もブレてしまったかもな…という所感もあり…。結局「人間の想い」みたいなベターなところに着地させたけど、難しいね~!
輪唱
反省点が多いのは染井の「輪唱」です。といっても輪唱、明らかに締切に追われながら書いた作品なので、読み返すだに校正の余地がめちゃくちゃあるように感じます。一番長い作品なので余計…!
テーマはすごく気に入ってるんだけどね。反魂の儀をフックにした「親の愛」主題の物語、俺屍本の締めとしてはこれ以上ないという気がしていて。
1年か2年くらい経ったら書籍限定作品もWeb再録するかと思うので、その時にサイレントで直そうかな…。
その他
前半4つはどれもそれなりに気に入ってるかな。時間に余裕があって沢山推敲できたので。
でもやっぱり表題作の「花民ぐ(天ノ川)」が、一番むだなく淀みなく、綺麗に書けたような気がしてます、現状。
「花民ぐ」という不思議なタイトルもだいぶおしゃれかと思うし。自分で言うなすぎるが…。
これは伝わらない細かいこだわりの話ですが、文体も各話ごとにちょっとだけ変えたつもりです。
たとえば全体を通してそんなにカタカナ語を使わないようにしてるんだけど、極楽鳥では平然と「シルエット」「ワードチョイス」といった表現が頻発するし、仲の話は良夜視点なのでやたら小難しい漢字が濫用されている、……みたいな。
意識的にいろいろなタイプの話を書いたつもりなので、色の違いみたいなのを感じていただければうれしいです。
デザインの話
小説本の初チャレンジだったので、文字組の勉強も取り急ぎ簡単に行いました。
書いておきながらなんなんですが私はそんなに活字を読むほうじゃないので、手持ちの小説本とかで色々サイズ感、スペース感を学んだり、色々調べてQ数を把握したり…。
私はAdobeフルコンプリートプランを契約しているので、本文文字組はIndesignで行いました。

まともに使うのは今回がはじめてのソフトなので、簡単なことでめちゃめちゃ躓いたりしました。むずかし~!!!
文字組デザインに関しても色んな作品を参考にしながら、今回のものを制作しています。タイトルとかノンブルのデザイン、かわいいと思うんだよね。
文字サイズは11Qにしたのですが、ちょっと若い人じゃないと若干読みにくいサイズになっちゃったかもと感じています。これは少し反省です。だけど本本体のA6のキュートな大きさとの統一性がある可愛いサイズ感だったので、一長一短というところかも。次回があるならせめて11.5Qにするかな?
表紙や扉、奥付はイラレで作ってIndesignで差し込んでいます。

7一族それぞれが主役という、読み手に大負担を強いる作品なので、せめてもの抵抗として一族家系QRコードを扉に仕込みました。

これが章扉です。
中身は「上品で大人可愛い」テイストに振りたかったので、わりとシンプルめなデザインで作っています。
あとA6の章扉って、デザイン盛りすぎちゃうとなんか視線がごちゃつく気がしたので、シンプルすぎるくらいの方が静謐さを保てるかなと。これは経験則ですが
章の最後には上述したプチコラムみたいなのを掲載しています。主役になった一族に対し、私がどう感じているのか触れるコメントですね。
極楽鳥は一族たちのパーソナルには一切触れずに南十字座のフルバージョンの歌詞を書いてますが。ていうかそれやりたくてコラムの箇所作ったまである
表紙は完全に表題作「花民ぐ」をイメージベースにして作りました。

優しい春みたいな、でも決してポップすぎない、寄り添うようなキュートなデザイン。
新・星物語マーガレット+マットPPの、ざらついた質感がめちゃくちゃこの風合いに合ってて良いんだこれが!!
「花民ぐ」部分のささやかなエンボスが本当に上品で、狙った通りの穏やかな佇まいになっててすごく美しいので、購入してくださった方はぜひ子犬のごとく撫でてみてほしいです。可愛いから
梵字の青紫もいいアクセント
その他、諸々の準備


あとはBoothのページを作ったり、Boothのサムネイルに使用するためのSo Coolなモックアップを手作りしたり、お品書き作ったりサクスぺの画像を作ったり。そんな感じです。
自家通販もはじめてだった!!!そんなにたくさんの部数刷らないしと高を括っていたのですが、全然梱包作業大変でした。すべてをナメているオタク
今回はこちらのnote記事をおおいに参考にさせていただき、OPP袋、レターケース、梱包用テープ、あとは補強用のA6段ボール板を使って、ひとつひとつ丁寧丁寧丁寧に真心こめて包みました。新俺屍島
なお、文字がそれらをすべて台無しにする勢いで本当に悪筆なので、プラマイゼロです。読めなすぎて届かなかったらどうしよう。
ありがとう、花唄2
めっちゃ楽しかったです!!!!!!!!!!!!!!!!
なによりこんなに久々に個人誌をつくることができて本当によかったです。
そんなに紙媒体にこだわりはないんですが、やっぱ物理で召喚できるとテンション上がりますね。
私はありがたいことにいま本職デザイナーとして日々やらせていただいてるので、装丁デザイン自体には日常のように携わってるんですが、自分のために装丁を作って、仕様を考えて…っていうのはもう何年も経験していなかったことだったし。それに以前本出したときの私、まだデザイナーじゃなかったし。
またなんか作りたいな~と思いました。俺屍でもいいし、俺屍にかぎらずでもいいし。
イベント会場には時間的に合わなくて初日くらいしか満足に馳せ参じられなかったんですが、十分に空気を堪能することができました。
勿論ほかの方の展示もじっくり見たよ!めっちゃよかった!
しみじみ思うんですが俺屍てすごいですよね。なんで発売から25年以上経ってるゲームがまだまだ盛り上がってるんだよ。おかしいだろ
Webオンリーが定期的に開催されるし、スペースもちゃんとしっかりほどほど埋まるし…。すげ~
けどそれってやっぱり盛り上げてくれてる人が尽きないからなんだろうなあとも感じますね。
今回の主催者陣様しかり、参加者様しかり。あと日頃SNSとかで発信を欠かさない方々の存在も貢献してるだろうなあ。
当たり前のことですが、機会がないかぎり本はそうそう出ないので、その機会を作ってくれる誰かが常にいるっていうのは本当にありがたいことです。
また本作りたい!鍛錬を欠かさず!花!花!どんな花!