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2025年7月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

エスター ファースト・キル

名作ホラー「エスター」の前日譚。
裕福な一家の一人娘・エスターが行方不明になってから4年の月日が流れた。ある日、エスターが見つかったという朗報が警察から届けられる。父、母、兄は数年振りの再会という奇跡にこの上ない喜びを感じ、10歳に成長したエスターを迎え入れる。再び4人そろって幸せな生活を送ることができるはずだったが、4年ぶりに戻ってきたエスターは何かが変わってしまっていた。

主演女優が25歳なのに再び10歳のエスターを演じるということで、その工夫の部分が気になって鑑賞。
ストーリーにはあんまり期待してなかったんだけどなかなか面白かった。

全文「エスター」のネタバレ注意!
いや~色んな気持ちになる映画だった…😭いい意味でも、ちょっとだけ悪い意味でも

エスターでやらないでほしかったなぁ~~~…」って気持ちがかなり湧いた…
私は前作のちょっと文学的でクラシカルな雰囲気がすごく好きだったので、今作ではどうしても安くなってしまった印象…
(洋画ホラーってしょっちゅうイケイケのロックをBGMにしたりするけど、あれが私はだいぶ嫌い寄りなので、エスターでやるな~!!ってなった…)

でもそれ差し引いても面白かった寄りに入るな、だいぶ…!

工夫の部分は…うーん、頑張りは評価したいんだけど、やっぱりエスターは10歳の少女にはちょっと見えなかったかな…笑
どうしても大人の女性に見えちゃうね。ほんとに頑張りは随所に感じるんだけども

けど、そこはむしろわりとどうでもよくなってくるくらいストーリーが良かったかな。
安いなぁ~!って感じると同時に「創意工夫~!!」っていう喜びも感じた
なんなら今回は大人の女同士の汚すぎるキャットファイトがメインの作品なので、イザベルファーマンが大人に見えちゃうこともプラスに働いてた気がする。

ていうか切なすぎる、エスターという女…!!
前作だとエスターってひたすらサイコガールみたいに描かれてたけど、今作はかなり彼女の人間性が描かれてて、「身体と心の不一致の苦しみ」がすっごく伝わってきた。
ただ普通に愛し愛され、人間なら当然持ちうる性欲を愛情のある関係で発散したいだけなのに、どうしても叶わないエスターたそ…😭😭ワイが守りたい😭😭

ラストでついにオトンに「化け物」って拒絶されてもなお「愛してるの」と言い寄り、墜落する彼の名を悲しそうに叫ぶエスター…。純愛やんか…。
ブラックライトを用いたアート制作をその後も気に入って取り入れてるあたり、かわいらしいよなあ…。本当に好きだったんだろうな…
その後(=前作)も男にふたたび拒絶されてしまったということが、いかに彼女にとって絶望的だったのかっていう解像度もグンパツに上がって、ほんまに悲しい

「大人の女性」としてのエスターもちゃんとビジュアルで描いてくれてたのがファンに嬉しいね。
車運転しながらサングラスかけて赤いリップで爆走するシーン、好きすぎる
そういう本当の一面を普通に男性に見せるようにしてたら、誰かは愛してくれたんじゃないかなあ…?って感情移入できてしまうのもまた切ない…。畳む


空気感って意味ではちょっと高級感薄れたな~って思いがかなり強いものの、
エスターというキャラをかなり好きになれたって意味ではほんとに鑑賞して良かった。
かわいい…エスター かわいすぎる ワイが責任もって愛したい
#horror
オーディション

妻を亡くし、男手ひとつで息子を育ててきたビデオ制作会社社長の主人公。
息子に再婚を勧められた彼は、同僚の勧めもあり、映画のオーディションにやってきた女性の中から再婚相手を選ぶことになる。初めは乗り気でなかったが、そこに現れたミステリアスな女性に惹かれていき…。

面白かったー!!
映画としての面白さは勿論だけど、私と音楽性がすごく合っててそこもよかった。性癖という意味です…。
#horror #suspense

アメリカで行われた「面白いホラー映画100」みたいなランキングに邦画のトップとしてランクインしてたらしい。
個人的には「邦画トップのホラーか」と言われたら少し首を傾げる部分はあったけれど、「センス」はバチコリに感じたなぁ~!!
古い映画なのに、今見ても全然新しい。カットや演出にすごく色あせないものを感じる。めっちゃ面白かった

やってることはとにかく1999年当時にありがちな女性蔑視。
つってもそれそのものが主題・問題提起になってるわけでもないので、そこはやっぱり時代を感じたかな。

ストーリーも今見たら王道っちゃ王道。
サイコパスの所業にそれとなく巻き込まれていく、よくあるヒトコワ系。

だけどマジで「嫌」で怖かったなあ~!!
拷問シーンは本当に痛くてキツいし、ねっとりと丁寧。徐々に不穏になってギアがかかっていくのもすごく不快で魅力的だった…

なによりファムファタールのメンヘラ!!!!最高!!!!
わたくしファムファタールのメンヘラに目がないものでして…こういうものでして…。

このへんはふわっとさせとくけど、ゲロのシーン、ほんまに叫んだ。たまらんかった…(鬱勃起オタク)
全体に漂う女性への軽視、モノとして扱ってる雰囲気も最高だった…。男尊女卑を味わいたいときはオーディションを見ろっ!!!
ミッシング・チャイルド・ビデオテープ

弟が自分と出かけた山で失踪するという過去を持つ主人公のもとに、ある日突然母から古いビデオテープが送られてくる。それは弟がいなくなる瞬間を映したビデオテープだった。
霊感を持つ同居人はそのテープに禍々しい雰囲気を感じ、深入りしないよう助言するが、主人公はずっと自分についてまわる忌まわしい過去を辿るべく動き出す。

#horror
全体的に惜しい作品だと思った。
ジャンプスケアや定番の演出に頼らない恐怖表現など、めちゃくちゃ光るところは沢山あって評価したいのに、いかんせん拭えない間延び感が邪魔をして高得点を出してあげられない映画って感じ…!

もともと短編映画として評価を得た作品を長編化したものと後々に知り「なるほどね」という感じ。
後半のギア上がってく展開は見どころ一杯でかなり高評価なんだけど、そこに至るまでがちょっとすぎるかな…さすがに…
画作りは綺麗なんだけどイマイチ主役たちの人間性が見えづらかったり、お部屋の生活感のなさも相俟ってキャラクターっぽすぎるのも減点ポイントかなあ~

考察しがいがあって、あの演出はなんだったのか、オチにはどんな意味があるのか…って盛り上がれるという点ではいい作品だと思う。怖すぎないのでホラー初心者にもおすすめできる!
演出面や映し方にはイシナガキクエ感を感じた。

2025年4月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

関心領域

1945年、アウシュビッツ収容所の所長ルドルフ・ヘスは家族とともに、収容所の隣で幸せに暮らしていた。どこにでもある穏やかな日常。しかし、壁ひとつ隔てたアウシュビッツ収容所の存在は、音や煙、何気ない会話や気配から着実に伝わってくる。
壁を隔てたふたつの世界。家族と収容者にはどんな違いがあるのか?

こんな飛び道具みたいな映画、存在していいの!?!?
すごい映画体験だった…
#drama

タイトルとポスターよさげやんと何も調べずに観始め、すぐに悟る……これ、ホロコーストの映画だ!!
「アウシュビッツ収容所のすぐ隣に住んでる家族の話」というガチヤバ映画なんだけど、映像ではまったく収容所の内部やユダヤ人の様子は映らない。ただひたすら隣に住んでる家族を撮ってるだけ。
家族の暮らしぶりは丁寧で上品でまさに理想といっても過言ではないんだけど、それなのに手汗が止まらないのはそれとなく映る不穏なアイテムや会話、そしてなによりのせいだと思われる。
耳を澄ますと聞こえてくる小さななにかの駆動音や人の悲鳴、これがもう一生観客の胃にスリップダメージを与えてくる。映像は全然怖くないのに
徹底して「見せないこと」を利用して「想像させる」作りになっているのがなんとも飛び道具的で、体感したことがない映像体験。すげぇ~っ!

この「想像力に徹底して頼る」構造そのものにも意図があるんだろうなあ。たとえば収容者もまた人間であるというあたりまえの想像を欠いてしまった主人公たち(そしてかつてのナチスドイツ)への強烈なアイロニー…とか?

言うてこの映画は主人公たちを悪逆非道ではなく、むしろどこにでもいる普通のひとたちとして描いてるからこそ真に迫る。主人公なんて上司と仕事との板挟みになって揉まれるサラリーマンとなんも変わらない。
だからこそこの歴史に残る残虐犯罪は誰にでも実行可能なものなのかもしれない、現代に生きる我々にも、という逆説的な説得力を持っている。すげえ~~~~この映画

そしてそれをまざまさと痛感させるオチがすごすぎる。
急に現代にスパンするラストで一気にこっちまで巻き込んでくる。お前らが今立ってる歴史はこれと地続きなんやぞってことをとんでもない演出でわからせてくる。
(そしてその見せ方自体はむしろとても「素朴でシンプルな、特別味のないもの」だからこそ胸につまる…)

主人公のカットから急に現代に飛ぶ演出に関してはこの動画の考察がかなり腑に落ちた。いい動画

そしてこのスタッフロール!!スタッフロールのBGM、やばすぎる!!!この映画は本当に音がすごいんだけど、最後の最後までそれを骨身に刻み込んでくる…。
ホロコーストの歴史を音で表現したらこんな感じなんだろうなっていうエンドロールだった。

あとから知ったんだけどカンヌのグランプリ獲った映画らしい。そりゃすごいわ。
いや~~素晴らしいものを観た。かなりキツいしこたえる映画だけど、よかったら観てほしい…。
風が吹くとき

片田舎で暮らす平凡な夫婦。二度の世界大戦をくぐり抜けて老境に差し掛かった二人はある日、ラジオから、新たな世界戦争が起こり核爆弾が落ちてくる、という知らせを聞く。二人は他愛のない愚痴を交わしながら備えるが…
ド有名な戦争映画。内容ほぼほぼ知ってたけど鑑賞。なんで私はこの作品を作業用映画に選んでしまったんだろうな…。
#anime #panic

平たく言うと平和ボケってよくないよねっていう映画なのかな。
最初は牧歌的な生活を営む主人公たちに癒されるんだけど、話が進むごとに楽観的すぎてオイオイオイオイ!!!!!って感情が煽られていく…。
広島の原爆に言及しといて核放射能にあまりに無知すぎるのビックリした。マジ!?
まあでも核の怖さを知ってるのって日本人だからこそという説もあるよね。この映画の舞台はイギリスの田舎なので、対岸の火事くらいの感覚だったのかもなあ

確かに主人公たちはちょっと無知すぎるし、度を超した楽観主義にはさすがに呆れる部分もあるんだけど、でも優しくていい人たちなんだろうなっていうのはすごく伝わってくるからツレェ…。
ちょっと呑気すぎるだけだろうが…!なにをしたっていうんだ、この夫婦が…。

終盤で朦朧として自ら紙袋かぶりに行くシーン、ちょっとホラーすぎる。ヘビーな映画だった…わかってたことだが…

実写とアニメを交えた映像も絵本的ですごくよかった。のどかな作風だからこそテーマが骨身に沁みるというか、逆にそれによってマイルドにして見れるレベルにまで落とし込んでくれてるというか…。
もとはあの「スノーマン」の作者が書いた絵本?なんだね。芸風広ぇ~っ…!

2025年3月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

ヴィレッジ(2023年邦画版)

実の父が殺人を犯したことで、“殺人犯の息子”という烙印が押されてしまった主人公は、閉鎖的な集落・霞門村で、村人たちに蔑まれながら生きてきた。
ごみ処理場の仕事に追われ、母親の借金をヤクザに返済する毎日。希望などあるはずもない無気力な人生。
そんなある日、幼なじみのヒロインが東京から戻ってくる。心を病み帰ってきた彼女と主人公の距離はしだいに縮まっていくが…

今すぐ鬱映画を観ないと気が狂っちゃう!!!!!!と思ってとりあえず目についたこれを鑑賞。ファスト的な鬱は確かに味わえてよかった。
ず~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと「こんな村嫌だ」を浴びせられ続ける上等寄りの鬱映画。
#suspense

悪くないけど、もう一段階のひねりがほしかったなあという印象。
途中でガラッとした転調があり「なになになに!?!?俺が今まで見ていた鬱映画は!?!?」というワクワクの驚きがあったのだけど、それも種明かしされるとまあまあ凡庸で、「こんなもんかあ」という感想を抱いてしまったかな…。

だけど主演の横浜流星はすごかった。横浜流星の演技で2時間持たせてるといっても過言ではない(退屈な映画ってほどではないと思うけれど)。
差し込まれる能のシーンと「ゴミ処理場⇔カス田舎村」のメタファーも効果的でとても美しい。
目にも耳にも感性にも嬉しく、だからこそ脚本にもう一段階の斬新さを期待してしまう、惜しい作品という印象だったなあ~
ザ・クリエイター

50年後の世界。人類を守るために生まれたはずのAIがロサンゼルスで核を爆発させた。
人類対AIの戦争が激化するなか、元特殊部隊の主人公は人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ暗殺に向かう。
だがそこにいたのは、少女の形をしたヒューマノイド。そして彼はやがて少女を守りぬくと誓う。ふたりが辿りつく結末とは…

素直に面白かった。
怒涛の情報量とスピードで展開していくので序盤は「これ大丈夫か!?すべての要素を結局まとめきれずに霧散するタイプの微妙映画では!?」とかなり心配してたんだけど、その心配を払拭してしっかり期待に応えてくれた、ハイクオリティの作品だった…!
#SF #action

正直観たあとも「詰め込みすぎだろ」という感情は消えなかったんだけど笑、けれど「それでもよかった」と断言できてしまう強度の高さがあった。
なんなら骨子はすごく王道なので「詰め込みすぎてる情報量」のすべてを把握する必要はない。最終的に王道コンテキストにしっかり乗れれば、「ちゃんとなんか楽しめる」エンタメ性は確保されてると思う。
ベタだな~と思いつつ最後はホロリしてしまったし。これこれ、こういうのでいいんだよ…

なによりこの映画のすごさはビジュアル。ほんとにすごい。
私の貧相な語彙ではうまく説明できないんだけど、アジアンエスニックとサイバーパンクが融合した独特すぎる世界観と、どこで切っても絵になるカット、映像美。さすがに圧倒されたなあ…
実際どこに着想を得て作られたかはわからないんだけど、映画的というよりはゲーム的な美術感覚をかなり感じたかも。AIと宗教を絡める感性もオタクにはバチバチに刺さる…!
個人的には「サイバーパンク好きなゲーマーのオタク」に観てほしい映画かもしれない。ザ・クリエイターの世界を実際にゲーム内で歩いてみたい、キャラクターを操作しながら、カメラ持って

今この感想を打ってる時に調べたんだけど、予算はたった8000万ドルらしい…。マジ!?!?あの映像で1億かかってないの!?!?

2025年1月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

リゾートバイト

なかなか周囲に馴染めない生活を送っていた女子大生の主人公は、幼なじみのふたりとともに、島のリゾート地の旅館でのバイトに誘われる。
当初は楽しく過ごしていたが、ある日使っていないはずの2階に夜ごと食事を運ぶ女将の姿を目撃してしまう。その数日後、スタッフの一人から秘密の扉を探る肝試しだと言われ、興味本位で2階に上がってしまったことをきっかけに、次々と怪奇現象に見舞われていく…。

名作爆笑Bホラー「きさらぎ駅」の監督がふたたび洒落怖を題材にメガホンを撮った作品。めっちゃ面白かった!!
きさらぎ駅よりさらに洗練されたギャグとホラーのマリアージュって感じで最高だった。正直こっちの方がより好きだったかも…

序盤で差し込まれる爽やかで明るい挿入歌とともに展開される主人公たちのひと夏のアルバイトの様子からして「B級ホラーですよ」ってことを大々的にアピールしてくるんだけど、
その後の怒涛のホラー描写の中でも「さすがにやりすぎだろ」とツッコミたくなるほどのお笑い展開を織り交ぜてくる。中盤までちゃんと怖いのに後半はずっとギャグを全プッシュしてくる。ずっと笑ってた
バ美肉おっさん同士のガチ恋などの時世を汲んだギャグも鮮やかにこなしつつ、ラストはまさかのしっかりと余韻を残す苦いオチ…。バランス感覚が完璧!!
あんなにめちゃくちゃやってたのに最後きちんと着地させられるの、手腕のなせる業すぎる。
しかもめちゃくちゃなギャグ自体、ちゃんとオチに作用してる。好きになっちゃうよ、こんな監督!!

序盤で主人公の親友がプレイするゲームの内容や、ヒーローの少年が刺身を食べられないなどの伏線回収も素晴らしかったな…。
笑えて怖いの大波サーフィンを見事に乗りこなす永江二朗監督、今後も注目すぎる…!
#horror
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